霊安納骨堂の本尊

中央  地蔵菩薩
左側  弘法大師
右側  不動明王


地蔵菩薩はサンスクリット語でクシティ・ガルバといいます。クシティは大地の意味でガルバは胎内の意味で、大地を蔵する「地蔵」と訳します。地蔵とは大地が固く壊れないように、この菩薩は菩提を求める心が固く揺るがず、私たちに変わって苦しみを受けるけれども、なお且つ、傷つくこともありません。また、地中に種や宝を埋蔵させて繁栄させるように、私たちの善根功徳を増させるのでこの名前がつけられました。



その姿は一般には髪を剃り、お坊さんのような姿をしています。右手には錫杖という杖を持ちます。錫杖は杖の先に輪が6ないし12本ついています。これが「シャクシャク」と音をたてるので錫杖と名がついたとも言われます。この音で山野を修行する僧侶が、獣などを追い払うことから、煩悩や災いを追い払う杖とされます。左手には如意宝珠(にょいほうしゅ)といって、あらゆる宝を生み出し「意のままに願いをかなえる珠」であります。密教では胎蔵界曼荼羅の地蔵院の中央におられ、古来より民間の中でよく信仰されています。


地蔵菩薩は、私たちが生前の業によって生まれては死に、死んでは生まれ変わるという六道輪廻(地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人間界・天界)の世界で衆生(あらゆる生き物)を救ってくれる菩薩であります。六道衆生を救うことを願いとし「全ての人が悟りを開き救われるまでは、私はこの世に止まり、仏の世界に昇らない」と誓いをたてています。地蔵菩薩は、特に地獄の衆生(あらゆるの生き物)を救うので閻魔王は地蔵菩薩の化身と信じられています。

 また、地蔵菩薩本願経(じぞうぼさつほんがんきょう)には、地蔵菩薩を信仰しお参りすれば「二十八種利益」「七種利益」のご利益があるとされ、天龍などが護ってくれる、良い業が日に日に増す、亡くなった人が苦しみから解放される、必ず成仏できるなどがあります。